84 いいこと、悪いこと

CATEGORY: 日常
DATE: 03/04/2018 18:13:10

「……」
「もう、朝……なの……」

時計を見る。時刻は午前7時丁度を示している。
外はまだ薄暗く、部屋も肌寒い。
アリスは再び眠りに着こうとした。

「……!」

布団が、微かに湿っているような気がした。
一瞬で眠気が吹き飛んだ。
恐る恐る確認してみる。

「……」

アリスがごそごそとしている音に気が付き、ラッキーが起きてきた。

「どしたのよ……アリス」
「まだ寝てても……いいんじゃないの……」
「ラッキー……」
「……おねしょしたかも」

ラッキーはため息をついた。

「おねしょした ”かも” って……したかしてないかどっちなの」
「……した」
「着替えなさい……」

パジャマを脱ぎ、新しい洋服に着替えた。
冷え切った洋服が肌に当たり、冷たい。

「しょうがないとは言えど」
「……派手にやってくれたわね」
「……」
「別に怒らないわよ……あなたは悪くないし」
「……うん」

落ち込んだ様子のアリスを見て、ラッキーがなだめる。
2人とも目が覚めてしまった。
窓の外は、先程より少しだけ明るくなっていた。

「……」
「気にしなくていいわよ……そのうち治るわ」
「おねしょするたびにこうやって着替えて……」
「布団を洗って……」
「はぁ……」

最悪の目覚めだった。

「おむつでもして寝たらいいんじゃない」
「やだよ!!そんなの!!赤ちゃんじゃないよ」
「だって……おねしょするのが嫌なんでしょ」
「……」

「駄目だよ、お姉ちゃんに言ったら」
「そうね」
「ラッキー!!」

アリスは本気で怒った。
……目に涙を浮かべながら。

「落ち着いてよ、アリス」
「言うわけないでしょ」
「嘘だ!!絶対言うもん!!」
「アリス……私が嘘ついたことなんてある?」
「……」

「ごめん」
「大丈夫よ」

アリスはベッドに座り、うなだれた。
その横でラッキーは丸まっている。
朝から口論をしたせいで、2人とも多少の疲れを感じた。

「はぁ……」
「ポスト見てきたら?」
「そうだね……」

暖かくなってきたとはいえ、まだ寒い。
寒い……と思いつつ外に出てポストを見る。

「何か届いてる……」

そこには1枚の黄色い封筒が投函されていた。
さっそく持ち帰り、封を開けた。

「何が届いたの」
「……あ」
「すごい!図書券だよ」
「……あぁ、そういえば何かのキャンペーンに応募してたわね」
「それが……当たったの?」
「そうみたいだね」
「へぇ、よかったわね……3000円分も入ってるし」

さっきまで落ち込んでいたのが嘘のように、アリスははしゃいでいる。

「悪いことがあったから、今度はいいことがあったのよ」
「きっとそうだね」
「神様、ありがとう!!」
「じゃあ、今日は本屋さんに行こうよ」
「無駄遣いしないでね」

嬉しそうな顔を見て、ラッキーは安心した。

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