90 うたた寝

CATEGORY: 日常
DATE: 03/07/2018 15:43:21

とある昼下りの一時。
お昼ご飯を食べ終えて、2人はカーペットに寝そべっていた。
何もせずに、ただぼーっとする。
平和、と形容するのがぴったりだ。

「ラッキー……」
「なに?」
「なんでもない……」

ラッキーの毛を指でいじりながら、話しかける。
窓から差し込んだ光で毛が赤茶色に透き通っている。
しっぽをゆすりながら、アリスに身を委ねている。

「……アリス?」

アリスが静かなのが気になり、ラッキーが話しかけた。
いつの間にか、アリスは眠っていた。
すうすうと寝息を立てて、いかにも幸せそうだ。
両手は握りしめ、口が少し空いている。

「赤ちゃんみたいね」
「……フフ」
「いつまで寝てるのかしら」

2人はいつも一緒だ。
寝るときも、出かけるときも、朝から晩まで。
種族が違えど、固い絆で結ばれている。
だから、アリスが寝ているとラッキーは暇だ。

「アリスの幸せは、私の幸せ?」
「どこかで聞いたような言い回しね」
「実際、そうなんだけど」

そっと起き上がり、アリスから離れた。
ぐるっとアリスの周りを歩き、再び座り込む。

「爪が伸びてるわ、切らせないと」
「髪も伸びてるし」
「服に生地の毛が付いてるわ」

「もう……女の子ならもっと気を使いなさいよ」

ラッキーは専らアリスの保護者のような役目を担っている。
ぶつぶつと文句を言いながら、寝ているアリスの横に寄り添う。
よだれを垂らしているのに気がついたら、何と言うだろうか。

暫くするとアリスは目を覚ました。
寝ぼけ眼をこすりつつ時計を見ると20分程経過していた。

「……ラッキー?」

起きたら必ず、ラッキーがいるか確認する。
いれば安心するし、いなければ少し探して諦める。
明るいうちは一人でもまあ大丈夫だが、真夜中にラッキーがいないことに気がついたときの反応は想像に容易い。

「目の前にいるじゃない」

寝ぼけていて気がつかなかったようだ。
安心すると、あくびをした。

「ラッキーは真っ黒だから気が付かなかったよ」
「何言ってるのよ、まだ真っ昼間よ」
「白なら夜でも分かりやすいのに」
「それなら、他の猫を当たって頂戴……」
「やだ、ラッキーがいい」

ふと、アリスは冷蔵庫が空っぽなことを思い出した。

「お買い物に行かなきゃ」
「いいわよ」

雨が降る様子もなく、安心して外出できる。
2人は支度をして家を出た。

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