CATEGORY: 日常
DATE: 03/16/2018 19:02:54
「……いっぱいありすぎて迷うなぁ」
「はは、そうだろうな」
「ここらで一番大きい店だから」
「柄だけじゃなくて手触りとかも確認しなさいよ」
3人はちょっと遠くの手芸店に来ていた。
4月からの学校で使う袋などを作成するための生地を探しに。
もうすぐだというのに一向に作る気配が無かったため、半ば強制的に連れてこられた。
「で、本当に自分で作れるんだな?」
「いいのが無かったから、作る」
「ミシンあるって言ってたし、大丈夫だな」
切り売りの生地がロール状になって大量に積まれている。
ラッキーはもちろん、アリスの背が届かないところまで。
フェルトやガーゼ、ファーにキルト、ありとあらゆる素材が一堂に会していた。
「あ、せっかくだから画材見てくるかな」
「また戻ってくるから選んでて」
「わかった!」
「これはどうかな」
「なんか可愛すぎて幼稚園児みたい」
「じゃあこれ」
「それも子供っぽいわね」
「いいでしょ、かわいいのが好きなんだから」
「個人的にはもうちょっと大人っぽいやつにしてほしいわ」
「それに……服も水色で被ってるわよ」
一向に決まる気配がない。
「ラッキーがだめって言うからいつまでたっても決まらないよ」
「ま……ダメならまた買って作ればいいことだし、好きなのにしたらいいわ」
「それじゃ不安なの!!」
「落ち着きなさい、ちょっと見てみるわ」
ラッキーが別のコーナーに向かう。
アリスはまださっきの生地を見ている。
「……ちょっと、あなたも来なさいよ」
「選んでくれるんでしょ?」
「あなたの服と合う生地を選ぶから……来て」
「わかった」
しぶしぶラッキーに付いていく。
隣は落ち着いた柄の生地が多く用意してあった。
山のように積み上げられたロールを見上げる。
「いいんじゃない、これ」
「濃い色でオトナの女性って感じ」
「えーっと……あ、あれ見て」
手の届かない棚の上の生地が気になった。
しかしラッキーには他のロールで隠れて見えない。
「よく見えないわ、取ってもらってくれる?」
「うん……あ、お姉ちゃんが帰ってきた」
「じゃ、リリーに頼むわ」
頼んで取ってもらった生地は、紺色の地に星が散りばめられた柄だった。
「へえ、こんな柄が好みなのか」
「いいわね、暗すぎない色で」
「……これにしようかな」
「じゃ、店員呼んでくるわ」
「……いいの見つけたじゃない」
「もっとかわいいのでもよかったけど」
「あまりに子供っぽい柄はどうかと思うわ」
「アリスも立派なお姉さんになるんだから」
「……お姉さんに、なるんだね」
帰宅してすぐ、買った生地を広げた。
厚手でしっかりした、キルト生地。
水色の服を好んで着ているアリスにぴったりかもしれない。
「作らなきゃ」
「ごめんなさいね、手伝いたいけど」
「自分で全部作るから、大丈夫だもん」
「だって、お姉さんになるから」
お姉さん、と言われたのがよほど嬉しかったのかずいぶん張り切った様子のアリス。
しばらく使えそうな単語ね……とラッキーがニヤリと笑う。
「……でも、作り方が分からないや」
「型紙買ってくる?」
「そうだね、そうしよ」
楽しみが、また一つ増えた。
次はこちら。

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